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第386話

ウォルターは静かな溜息と共にクインの顎から手を離した。

「忘れてくれ」と彼は呟き、その声は静かな部屋に響いた。

立ち上がりながら、彼は付け加えた。「また別の日に会いに来るよ。チャンドラーの件はまだ解決していない」その言葉は空気中に漂い、クインは安堵の波が体を洗うのを感じた。

ウォルターがドアに向かって歩きながら、立ち止まってクインを振り返った。「アレクサンダーに会ってジュリエットの居場所について尋ねるべきじゃないのか?」と彼は何気ない口調で尋ねた。

クインは一瞬たじろぎ、返事が喉につかえた。ウォルターは笑い声を漏らしながら、振り返ることもなく部屋を出て行った。

一人残されたクインは部...