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第379話

携帯電話のデジタルマップに導かれ、クインは指定されたホテルの2階に立っていた。

彼女は個室へと続くドアの前に立ち、与えられた番号と照らし合わせて再確認した。

丸2分間、彼女はドアの外に佇み、勇気を振り絞ってようやくノックした。中から男性の声が「どうぞ」と招き入れた。深呼吸をして、クインはドアを押し開け、個室に足を踏み入れた。

中にいた男性、チャンドラーは彼女の予想とは違っていた。中年の人物を想像していたが、彼はかなり痩せていた。

特別ハンサムというわけではないが、不細工でもなかった。黒縁の眼鏡をかけ、少し猫背気味のチャンドラーの唯一の特徴といえば、その極端な痩せ方だった。それ以外には、...