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第327話

クインは急ぐ様子でドアを開け、流れるように車の座席に滑り込み、すぐにシートベルトを締めた。アレクサンダーは一言も発せずに車をバックさせ、二人はすぐに出発した。

雨は止んでいたが、空はまだ憂鬱な曇り空のままだった。クインはホテルの中で一晩中過ごし、骨の髄まで冷えきっていた。

アルコールの微かな香りを含んだ風が車の窓から吹き込み、クインの心を不安で揺らした。彼は酒を飲んだ上で運転していた。恐怖で声を出せず、彼女は彼に視線を向けては、頬に当たる風の痛みに目を戻した。

静かな決意を持って、彼女は細い指で窓を閉め、侵入してくる冷たい空気を追い払った。

二人の旅はサンダーバードキャニオンで終わった...