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第1287話

「クイン。」

アビゲイルの声が背後から聞こえ、クインの手が震えて木彫りを落としてしまった。彼女は素早く身をかがめてそれを拾い上げた。

振り向いて無理に笑顔を作る。「どうしたの?」と彼女は尋ねた。

アビゲイルの視線がクインの手にある木片に注がれた。考える間もなく、彼女はそれを奪い取り、クインが反応する暇もなかった。

「これ、素敵ね。どこで手に入れたの?でも、ちょっと半分しか完成してないみたいね」とアビゲイルはつぶやいた。

クインは唇を引き締め、黙ったままだった。

アビゲイルは何かに気づいたようで、手の中の木彫りを見下ろした。これはアレクサンダーが残したものかもしれない?

彼女は再び...