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第1210話

クインはアレクサンダーに視線を向け、もう一度尋ねた。「腕か足がなくなったとか?」

「さあな。何も感じないんだ」アレクサンダーは、かろうじて聞こえるほどの声でつぶやいた。

「じゃあどうやって...」クインの声は途切れ、話題を変えた。「で、どうするの?このトラをあなたの上から押しのけることなんてできないわ」

トラは少なくとも450ポンドはあり、彼女はその爪をほんの少し動かすことさえできなかった。

アレクサンダーは目を閉じ、呟いた。「そのままでいい。なんか暖かいし」

「アレクサンダー...」クインは呼びかけた。

彼女の先ほどの悲しみは、純粋な苛立ちに変わっていた。

「ちょっと休ませてく...