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第1198話

クインは食べる気が全然しなかったが、その香りがあまりにも良かったので、一口だけ食べてみた。

特別美味しいというわけではなかったが、まあ、さっきの鳥よりはましだった。それでも、もう食べる気にはなれなかった。

「もういい」と言って、彼女は魚を押しやった。森はどんどん暗くなっていき、洞窟に戻るとしても、とにかくここから出たかった。

彼女はアレクサンダーに向き直って尋ねた。「ここから出られる?」

アレクサンダーは一瞬考え、クインを見上げて言った。「ああ、出られるよ」

クインは唇を噛みしめ、様々な危険について考えた。彼の言葉を疑っているのは、出られないと思ったからではなく、無事に出られるか怖か...