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第1188話

アレクサンダーは足を止め、重いため息をついた。「どうやら完全に迷ってしまったようだ」

それを聞いて、クインは恐怖の波が押し寄せるのを感じ、残っていた安心感もすべて失ってしまった。

「大丈夫だ。俺がいる。何も起こさせないよ」アレクサンダーは彼女を安心させながら、少し先へと歩み続けた。

森はもともと日が差していても薄暗かった。だが今は、完全に不気味な様相を呈していた。まだ午後だというのに、夕方に近いような感覚だった。

注意を怠れば、迷子になるのは朝飯前だ。

アレクサンダーは永遠とも思えるほど長い間、彼女を運び続けていた。クインはようやく彼に自分を下ろすよう頼んだ。ここは前の場所ほど怖くな...