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第1085話

外はまだ暗かったものの、彼女は彼の顔を識別できるほどの光はあった。

目が合った瞬間、時間が止まったかのように、空気さえも凍りついたように感じた。冷たい風が吹き荒れ、クインの血が氷に変わったかのようだった。

体は言うことを聞かず、彼女は馬から転げ落ちてしまった。

アレクサンダーは猫のように素早く彼女の腰をつかみ、引き上げた。

二人とも言葉を発しなかった。何を言えばいいのか分からなかったのか、あるいは何を言っても馬鹿げて聞こえるだけだと思ったのかもしれない。

二人はとても近くにいたが、風は二人の間に見えない壁のように感じられた。

永遠とも思える時間が過ぎ、クインはようやく我に返った。彼...