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第107話

「大丈夫ですか？」と突然声がかかった。

優しく彼女を立ち上がらせる手があった。クインは大学生くらいの若い男性の顔を見つめていた。

その若い男性は白いダウンジャケットを着て、イヤホンを首に無造作にかけ、バックパックを片方の肩にだらりとかけていた。

クインは涙を拭い、首を横に振った。

「大丈夫なんですね。それはよかった。家に帰りなさい」と若い男性はアドバイスし、一瞬の笑顔を浮かべてから踵を返して歩き去った。

クインはその場に立ち尽くしたまま、冷たい風が吹き抜け、いつになく寒さを感じた。彼女は近くのコンクリートの階段に腰を下ろし、スマホを取り出してアビゲイルからのメッセージを読んだ。

アビゲ...