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第1038話

アレクサンダーは骨壺を持って、寝室へと階段を這うように上がった。

彼はベッドサイドのテーブルに骨壺を置き、まるでクインの顔に触れるかのように指で箱をなぞった。

外の風がカーテンを揺らした。空っぽの部屋では、風さえも寂しく感じられた。

その後の二日間、アレクサンダーは引きこもり、訪ねてくる誰とも会おうとしなかった。

葬式も手配もなし。ヴィラはそのままで、まるでクインがまだそこにいるかのようだった。

オリビアは彼が諦めたのだと思った。しかし三日目に、彼はきちんと服を着て、まったく普通の様子で階下に降りてきた。

「ケネディさん、起きたのですか?」オリビアは駆け寄りながら尋ねた。

アレク...