第5話
クリストス
もう金曜日だった。学校週の最終日。自由な時間が欲しくて楽しみにしていた。そうすればジョイ・テイラーについての調査を進められるから。実際、手元にある情報はあまりなかった。
「クリストス、何か見つかった？」ザビエルが尋ねた。彼は本当に焦っていた。過去を掘り起こすのがそんなに簡単だと思っているんだ。
「まだ何もない。言っただろう、彼女は存在しないかのようだって」と私は言った。「言い方を変えよう。彼女に起きたことが起きなかったかのようなんだ」
「それが可能なのは、町の全員を支配できる人がいる場合だけだぞ。法執行機関も含めてな。その町で一番金持ちで力を持っているのは誰だ？」ザビエルが尋ねた。
私たちは図書館の外、木の下のベンチに座っていた。ジョイが授業の合間に直接図書館に行くことに気づいたので、彼女を見守るために、ここに座って彼女を待つのが常だった。
「市長だろうな」と私は答えた。
「だったら彼に焦点を当てろ」ザビエルは腕時計を確認して言った。「くそ！次の授業が始まるところだ。俺の代わりに彼女を見ていてくれ、いいか？彼女がどこに行くか教えてくれ。また後でな」彼は自分の建物に向かって走り去り、私はラップトップで入力を続け、調査を続けた。
すべてが行き詰まりになるのは本当に嫌だった。ジョイ・テイラーの暴行について言及している新聞や動画は一切なかった。5年前まで遡っても、まだ何も見つからなかった。見つかったのは、テオドア・コーエン市長が新セイラムを未来の町にしているという話だけだった。
多分ザビエルは正しいのかもしれない。メディアをブロックし、法執行機関に介入できるほど力のある人物に違いない。市長でなければ、誰だろう？
新セイラムの保安官についての情報を調べていたとき、目の端でジョイが図書館を出て学生食堂に向かうのが見えた。もう昼食時間だったことに気づかなかった。私は素早くラップトップを閉じて彼女の後を追った。
彼女はフーディーを被り忘れていたので、通りすがりの多くの学生たちが彼女を指さし始めた。私は彼らの一人一人に冷たい視線を送った。あれほど多くのことを経験した人を笑うなんて、なんて恥知らずな！
私は歩きながらため息をつき、頭を振った。なんて未熟な考えだ。
彼らは彼女の靴で一マイル歩かない限り、ジョイが経験したことを決して知ることはないだろう。実際、もし彼らに同じことが起きたら、生き延びられるかどうか疑わしい。
私は彼女の後ろから駆け寄り、彼女が通れるようにドアを素早く開けた。彼女は私がドアを開けているのを見て驚いたように顔を上げた。彼女は恥ずかしそうに微笑み、感謝の意を込めて頭を下げた。彼女の目が青と緑の見事な色合いをしていることに気づいた...とても美しかった。
「あの、ありがとう」と彼女は言った。本当に色っぽい声だった。ザビエルが彼女を好きな理由がわかる。
「どういたしまして」と私は答えた。彼女は食堂に入り、列に並んだ。私は彼女の後ろに並んだ。
彼女がこんなに背が高いことに気づかなかった。真っ直ぐ立つと、私の肩まで届いた。彼女はすらりとしていて、長い脚を持っていた。彼女の手がどれほど優雅で、爪が清潔なことに気づいた。彼女が長い栗色の髪をひるがえしたとき、シャンプーの花の香りがした。
レジに着いたとき、彼女が支払う前に私はお金をレジに差し出した。
「僕が払うよ」と私は彼女に微笑みかけた。
「そんなことしなくていいのに」と彼女は唇を尖らせた。実際、彼女は愛らしく見えた。
「次回は君が僕にランチをおごってよ」と私は言った。そう言うと、彼女はにっこり笑って頷いた。
「わかった、次回ね」と彼女は甘く呟いた。「ありがとう」彼女は座るテーブルを探すためにトレイを持ち上げようとしたとき、背後から聞き覚えのある声がした。
「クリストス、僕は君を探してたんだ-」ザビエルは突然、私が誰と話しているのかに気づいて止まった。「ご、ごめん...」ジョイはザビエルに微笑みかけ、それが彼を赤面させた。
「あの、こんにちは！クリストスさんがとても親切にランチ代を払ってくれたの」と彼女は言った。「ありがとう、クリストスさん」彼女はトレイを持ち、すべての学生から離れた隅の方に席を見つけた。
私は微笑んだ。彼女が私の名前を言う方法が好きだった。
「くそっ、クリストス！ここにいることをメールするべきだったな。俺が彼女のランチを買えたのに！」ザビエルは明らかに私にイライラして叫んだ。私たちは彼女から数テーブル離れた場所に座った。
「ごめん！彼女を観察することに夢中になっていたんだ。彼女は本当に美しい目をしているよ」と私は言及した。彼は私が彼女の目に気づいたことに驚いて眉を上げた。それから彼は椅子に寄りかかり、すねた。
「俺が最初に彼女を見つけたんだ！」ザビエルは子供のようにブツブツ言った。
「僕たちは皆、同時に彼女を見たんだよ、ザビエル。ねえ！僕もこれに関わっているんだ。落ち着いて。セバスチャンと僕も、彼女を助けたいんだ。一緒に、彼女にこれをした人を見つけて、彼女の前にひざまずかせよう。誓うよ」と私は彼を元気づけようとして言った。彼はため息をついて前に身を乗り出した。
「俺は彼女を守りたいだけなんだ。もう彼女の目に悲しみを見たくない」ザビエルの声には、私が今まで聞いたことのない優しさがあった。彼はもう彼女に恋をしているのだろうか？
「心配するな、ザビエル」セバスチャンが突然現れ、ザビエルの隣の椅子に滑り込み、サンドイッチと飲み物を彼に渡した。「母に話しておいたよ。彼女は医療関係者たちにジョイを助けるよう手配している」
ザビエルは振り向いて、教科書を読みながら昼食を終えているジョイを見た。
「費用がいくらであろうと、セバスチャン、俺が払う。彼女の心と同じように美しくなるよう、彼らに伝えてくれ」
私はセバスチャンを見た。彼の目もジョイ・テイラーに向けられていた。私はため息をついた。私たち三人は密かに彼女を見ていた。
とても奇妙だった。私たちはまだ正式に出会っていないのに、三人ともすでにジョイに夢中になっていた。