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第108話

聖エリザベス病院

朝の十時半を過ぎ、私はナースステーションで診療記録を仕上げながら立っていた。腕時計を何度も確認し、アラームが鳴るのを不安げに待っていたが、すべては静かなままだった。

額を擦りながら、オータムを探して、私が渡した薬剤カクテルをIVバッグに注入できたかどうか尋ねるべきか迷っていた。先ほどフォードとばったり会った後、オータムを補助用クローゼットから助け出すこともせずに、三階からナースステーションへと急いで戻ってしまったのだ。

私は恐怖で固まり、拳で口を覆った。

「もし彼女がまだ上で私の助けを待っているとしたら?」

なんて馬鹿なんだろう。仲間の一人の安全を忘れてしまうなんて...