第10話
セバスチャン
重い心でドメニコのレストランに到着した。ジョイが留守の間、俺たち三人は争い続けていた。彼女は明日、ニューヨークから戻ってくる予定だ。
この二週間、彼女は俺たちを完全に無視していた。電話もメールもテキストも、一切返事がなかった。そのせいでザビエルはピリピリし、クリストスは窮地に立たされていた。
ザビエルがジョイと出会った瞬間に彼女に恋をしたことは分かっていた。だが、それは俺やクリストスが彼女に恋をすることを妨げはしなかった。
高校時代、俺たちはスカートを履いている相手なら誰とでもヤっていた。相手が興味を示し、自ら足を開く気があれば、誰かが彼女の中に挿れていた。授業の合間には、誰かが人目につかない場所で手早くヤるか、フェラをしてもらっていた。週末になると、クラブに繰り出して年上の女とヤった。あれだけヤりまくっていて、どうやって高校を卒業して大学に入れたのか不思議なくらいだ。
大学は俺たち三人にとってヤリ放題の場になるはずだった。しかし、ジョイと出会ってからは、他の女に興味を持つことがなくなった。
ある夜、カポ・デ・ルカのクラブで家に帰る前に一杯やっていたとき、ぴったりした黒のミニドレスを着た背の高い女が目に留まった。彼女は絹のようなくり色の長い髪を持ち、毛先がカールしていて、手を止められない男と一緒に誘惑的に踊っていた。俺の中で嫉妬と怒りが膨れ上がった。
すぐにバーを離れ、彼女に向かって歩いた。俺はその男を押しのけ、怒りに任せて女の腕をつかんだ。
「ジョイ、このクソ野郎と何してるんだ？！」声が聞こえるように叫んだ。
くり色の長い髪の背の高い女が振り向いた。ジョイではなかったことに衝撃を受けた。すぐに彼女を離し、彼女のデートの相手に謝罪した。
「すみません。人違いでした」急いで謝った。カポ・デ・ルカが俺の方に駆け寄ってきた。その男が俺たちの敵だと思ったのだろう。
「ドメニコ、この野郎が邪魔しているのか？」
「いや。この男に謝罪の意味で一杯飲ませてやれ」と言った。デ・ルカはウェイターに指を鳴らし、俺をバーに引っ張っていった。
「一体何をしてるんだ、ドメニコ？」彼はバーテンダーにもう一杯注文しながら尋ねた。ショットグラスが俺の前に置かれると、アブサンを一気に飲み干し、燃えるような液体が内臓を焼く感覚に目を閉じた。
「間違えたんだ。その女をジョイだと思った」と答えた。デ・ルカは笑い、俺の背中を叩いた。
「今でも謎に包まれているあのジョイ・テイラーか？！彼女は美人だよな。お前とザビエル、クリストスのおかげだ。で、お前は彼女に恋してるのか？」デ・ルカは面白がって尋ねた。「そして、ザビエルはそれを知ってるのか？」
「わからない。俺は—」言葉を切った。もう自分に嘘はつけない。「たぶんそうだ、デ・ルカ。俺はたぶん彼女に恋してる」
「クソッ！もう一杯だ！ミゲル、続けて持ってこい！」デ・ルカはバーテンダーに命じた。「カサンドラから聞いたんだが、クリストスもジョイに恋してるかもしれないそうだ」カサンドラはクリストスの妹だ。「彼女によれば、クリストスはジョイのことしか話さないらしい」彼は手を叩いて大笑いした。「お前ら三人は大したもんだな。一人の女を共有しながらボスになる運命か。俺がお前なら、お前の二人の血の兄弟に全てのカードを明かすぞ。そうしないと、お前たちの父親が苦労して築き上げたものが全て消えてしまう」
「同じ女を愛しているからといって帝国が崩壊するとは思えないがな」と言った。デ・ルカは驚いた顔で俺を見た。
「それを千隻の船を出航させた女、トロイのヘレンに言ってみろ」と彼は神話を引用した。「それにジョイはどうなんだ？彼女は誰を愛しているんだ？」
俺は彼を無表情で見つめた。実際、俺にはわからなかった。彼女は俺たち全員を同じように扱っていた。デ・ルカは俺の表情を見て、もう一杯のアブサンを手渡した。
「その質問に答えられないなら、友よ、彼女はお前たちのどちらも愛していないのかもしれないぞ」デ・ルカの口調が変わり、真剣な響きになった。「兄弟たちと話し合え。無駄な原因で三人が争うのを見たくない」彼は自分のショットグラスを俺のグラスにぶつけてから飲み干した。
そして今、俺たちは争っている...。俺はドメニコのレストランで会うよう二人を呼んだ。ここは中立地帯で、誰にも邪魔されずに叫んだり争ったりできる。
母はすでにレストランの中で俺を待っていた。彼女はボス達がここで会議をする時に使う会議室を指さした。
「これを解決しなさい、セバスチャン」と母は言った。「これが何であれ...解決するのよ！」
「わかったよ、ママ」と約束した。
会議室の中では、ザビエルとクリストスが、まるで先に動くことを互いに挑発するかのように睨み合っていた。俺は咳払いをして二人と一緒に座った。
ウェイターが前菜とワインを運んできた。彼が去り、ドアを閉めると、対決が始まった。
「どうしてそんなことをした、クリストス？なぜジョイに俺たちのこと、ブラッド・ディサイプルズのことを話したんだ？彼女は俺が組織のトップ暗殺者だと知って、きっと嫌悪感を抱いているだろう！」ザビエルは歯を食いしばって言った。
「もう彼女に嘘はつけなかったんだ、ザビエル。正直であることが、俺が彼女にできる唯一のことだった」クリストスは反論した。「お前たち二人と比べて、俺がどれほど無価値に感じているか分かるか？お前は彼女を再び美しくした。自信を与えた。人生を取り戻させた。もし俺が彼女にこんな気持ちを抱くことになるとわかっていたら、最初から費用を分担するよう頼んでいただろう！」
「どういう意味だ、クリストス？！まさかお前も彼女を愛しているとか言うなよ？」ザビエルは明らかに裏切られた気持ちで尋ねた。
「俺は彼女を愛している、ザビエル」クリストスはついに認めた。俺は二人が気持ちを打ち明けるのを静かに見守っていた。「誓うが、こんなことになるつもりはなかった。だが、そうなってしまった。最初は彼女を助けたいだけだったが、今は彼女を失いたくないと感じている」
俺も同じ気持ちだと打ち明けたかったが、ストレスを増やしたくなかった。
ザビエルはクリストスを、まるで胸から心臓を取り出して握りつぶされたかのように見つめた。
「ザビエル、裏切られたと感じるのは分かるが、俺の話を聞いてくれ」と俺は言った。
「なぜ聞く必要がある？！あいつは俺を裏切ったんだ！」ザビエルは吠えた。
「俺がお前を裏切った？！」クリストスも叫び返した。「どうしてそんなことが言える？彼女はお前に愛していると言ったのか？！」
「いいや！」ザビエルは認めた。「お前はどうなんだ？！彼女はお前に愛していると言ったのか？！」ザビエルは言い返した。クリストスが口を開く前に、俺は口を挟んだ。
「いいや、言ってない。彼女は俺たちのどちらにも『愛している』とは言っていない。彼女が両親に『愛してる』と言うのは聞いたことがあるが、俺たちには一度も言っていない。集団としても、友達としてさえも」
ザビエルとクリストスは敗北感に満ちて座り直した。彼らは今、俺たち三人が愛する唯一の女性が同じ気持ちを持っていないかもしれないという理由で争う意味がないことを理解した。
「じゃあ、これからどうする、セバスチャン？彼女を失いたくない...友達としてさえも」ザビエルはつぶやいた。彼はもう怒っていなかった。彼は今、三人全員がジョイが戻ってきたときに彼女を失うかもしれないことを心配していた。
「俺はジョイを知っている」とクリストスは言った。「彼女は自分を大切にしている人たちに背を向けるタイプではない。直感的に、彼女は俺たちを親友だと思っているはずだ」
「確かか？この二週間は、まるで彼女が俺たちに背を向けたようにも見えるが。全部お前のせいだ、クリストス」ザビエルは不機嫌に言った。
「ザビエル、落ち着け」と俺は言った。「ジョイに必要なスペースを与えよう。彼女が俺たちと話す準備ができたら、電話かメッセージをくれるはずだ」
突然、俺たち三人の携帯が同時に通知音を鳴らした。
世界中で俺たちの携帯を同時に鳴らせる人間は一人しかいない...