兄の親友に奪われて

第87話

ニコライ

俺はジムに足を踏み入れると、キングがサンドバッグに金を借りているかのように打ち込んでいた。彼は上半身裸で、汗に濡れた筋肉が一撃ごとに隆起している。彼から放たれる緊張感は息苦しいほどだ。

「大丈夫か？」俺は自分のシャツを脱ぎながら近づき、彼のためにバッグを支える。彼の生々しい拳がバッグに正確に当たり、怒り、欲求不満、そしてもっと深いものを叫んでいる。

キングは俺を見ず、もう一発打ち込みながら顎を引き締める。「問題ない」と彼は呟くが、彼の拳がバッグを叩き続ける様子は別の物語を語っていた。

グレイは今夜起きたことをすべて教えてくれた。アリッサはローガンと—そしてウォーを見たんだ。彼...