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第28話

「お兄ちゃん、塩取って?」私の声は作り物の甘さを纏い、皮肉が滴り落ちる。私たちは全員テーブルを囲んで座り、部屋には濃厚で有毒な緊張感が漂っている。セバスチャンでさえ料理を出した後、急いで立ち去った。

グレイの顔には、ショック、怒り、裏切られた感情がありありと浮かんでいる。彼は塩入れを私の前に叩きつける。

「ありがと」と私は呟き、苦笑いのような無理な笑顔を作る。

「ねえズリ、上に行っておもちゃで遊ぼう」とニコが提案し、食事を一気に平らげて立ち上がる。彼は私に許可を求めるように視線を送り、私は少し頷く。

「どこに行くんだ?」グレイが詰問する。

「ここ以外ならどこでもいい」ニコは言い返し、...