兄の親友に奪われて

第166話

「アリッサ視点」

ニコと私がリビングに入ると、キングとメイソンはくつろいだ様子で椅子に座り、コーヒーを啜っていた。まるで穏やかな土曜の朝のように—グレイがこれから怒りに燃えて乗り込んでくるような状況とは思えないほど落ち着いていた。

一方、ズーリは特大サイズのフォームボールプールの中で、純粋な喜びを爆発させて甲高い声を上げていた。

このリビングの真ん中に巨大なボールプールがあるという事実は、キングがいかにズーリの小さな指に完全に、絶望的に巻き込まれているかを物語っている。

私が入るやいなや、キングとメイソンの目が私に釘付けになった。彼らの視線には心配の色が静かにも激しく揺れていた。

うん。...