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第165話

「アリッサ」

私は首筋を這う唇の温かい感触で目を覚ます。優しいキスと、ゆっくりとした挑発的な舐め方が交互に続く。何が起きているのか理解する前に、眠たげな声で思わず喘ぎ声が漏れ、私の上で体を支えている彼の腕に、本能的に指を這わせる。

「起きろよ、可愛い子」ニコが低い声で囁き、ようやく私の唇をゆっくりと長く奪う。「グレイがもうすぐ来るぞ」

私の目が飛び開き、睡眠から覚めた興奮の痕跡は一瞬で消え去る。

「なんで?」声はまだ眠りに濁っているが、緊張が既に胃の中で渦巻き、次に起こるであろう面倒事に備えている。

昨晩も会ったばかりなのに。一体今度は何が目的なんだ?

身を起こすと、ニコは私から離れ...