雨と灰

第14話

私はゆっくりと吸血鬼の宮殿の暗い廊下を歩いていく——かつて父が生きていた頃、この黒い心の全てで愛していた宮殿だ。昔はここは美しい場所だった。しかし父は謎の死を遂げ、母一人が吸血鬼たちを統治することになった。

父の死後まもなく、母であるクリムゾン女王は変わり始めた。最初は些細なことだった。保護すると誓った人間を、血を吸う際に傷つけるようなことから始まった。そこからどんどん悪化していった。

当時の私はまだ子供で、父の死後5ヶ月ほど経った10歳くらいだったが、冬至の夜のことは覚えている。母は長い赤いドレスを着て玉座から立ち上がり、吸血鬼たちを見渡して言った。「今宵から吸血鬼たちの新しい時代が始ま...