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第477話私はあなたを空に連れて行きます

ようやく息を許されると、アンは全身の力が抜けた。

頬が上気し、特に、彼の指が再び腰を掴む湿った感触に、全身が燃えるように熱くなった。さっきされたことの記憶が、晒された肌という肌を赤く染め上げていく。

彼女はもう一度彼を叩いたが、その手には全く力がこもっていなかった。

「俺をくすぐるつもりか?」ウィラードの声は、普段の豊かで深い響きとは違い、欲望を帯びた掠れ声で、アンに危険を察させた。

幸い、平手打ちに力はなかった。さもなければ、彼の腕に捕らわれている今、報復に何をされたか分かったものではない。彼には敵わないし、逃げることもできないのだ。

感情がこみ上げ、涙が勝手にあふれ出す――感情が...