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第476章力がなければ、あなたは何もない

エリッサはため息をついた。「やっぱり、誰かを愛していたら、記憶喪失になったって再会すれば胸が高鳴るのは止められないものね」

ホープはリンドンの写真に目をやり、首を横に振った。「でも、リンドンは平気そうよ。彼女を見つけたいなら、私たちよりずっといい手段があるはずだもの」

「リンドンは昔から感情的に淡白な人よ」エリッサは芝居がかった仕草でまた一口飲んだ。「彼を誰かに惚れさせるなんて、生半可なことじゃないわ。でも、一度惚れたら? 彼はすべてを懸けて愛すのよ――一度きり、生涯を懸けてね」

ホープはクッションに深く身を沈め、片手で頬杖をついた。「彼の家柄を考えたら、政略結婚しなきゃいけないんじゃな...