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第390話

フランシスは彼女を無視した。

彼はもう一本のタバコに火をつけようと手を伸ばした。

メリンダが手を伸ばしたが、彼は背を向けた。

「あなた本当に失礼ね。振られたのも当然だわ」とメリンダは言った。

フランシスは眉をひそめ、ソファに座りタバコの煙を吐き出した。

メリンダは激怒していた。しかし振り返って、彼がソファに座り、足を軽く組み、静かな荒涼とした雰囲気を漂わせているのを見ると、その端正な顔立ちと冷ややかな態度と相まって、彼女は思わず惹かれてしまった。

彼女は彼のタバコを取りに行くことはしなかった。

しかし、フランシスに好意を持っていても、彼の周りでタバコの臭いを嗅ぎたくはなかった...