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第313話

ジェリーの目はケトルの横にあるコーヒー缶に釘付けになった。セシルは彼が見ている先に気づき、立ち上がろうとしたが、痛みが強すぎて、再び倒れ込んでしまった。

ジェリーはコーヒー豆を一握り掴み、それをセシルの上にこぼした。缶の中から、何かが少しだけ顔を覗かせ始めていた。

彼はニヤリと笑い、目はいたずらに輝いていた。「どうやら大当たりだったようだな」

セシルは全力を振り絞って立ち上がり、ジェリーから黒い小瓶を奪おうとした。

中には唯一の解毒剤が入っていた。

しかし彼は息を切らし、動くことすらやっとで、何かを奪い取ることなどできなかった。

ジェリーは小瓶を少し持ち上げ、手の届かないところに保...