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第128話

ケイド視点

俺がパックの領地に足を踏み入れてリカン王に出くわした瞬間から、何が起こるか見当もつかなかった。正当な理由もなくパックの領地に侵入した俺は、捕まれば死か罰が待っているのだから。

「違う!俺たちには理由がある。ロザリンだ」とビショップが唸る。俺の意識は腕の中の魔女に向けられていた。少なくともアレクサンダー王が彼女を引き渡せと命じるまではそうだった。それに従うのは気が進まなかったが。

「言う通りにした方がいい」とビショップが囁く。

躊躇いながら、彼女を手放そうとするが、できない。彼がまた唸ったとき、このまま手放さなければ、おそらく死ぬことになると悟った。アレクサンダー王の...