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第54話

カウンターに寄りかかりながら、あたりを好奇心旺盛に見回して、気に入った光景を目にしている。清潔でモダンな雰囲気だけど、同時に温かく居心地の良い空間だ。まさにアダムらしい部屋で、私はここで幸せに暮らせそうだと思う。

えっ!いったいそんな考えはどこから湧いてきたの?落ち着きなさいよ、リア、と自分に言い聞かせると、彼が渡してくれたばかりの水を飲んで喉を詰まらせてしまう。咳き込みながら水を胸元にこぼして、本当に馬鹿みたいだ。

「ごめんなさい」と言うけれど、返事はない。彼の目を見る勇気がなくて、水をこぼしたことで怒っているんじゃないかと心配したけど、やっと顔を上げると、私を凍りつかせるような貪欲な視...