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第159話

パトンは息づいていた。タイのプーケットの中心地であり、それは紛れもなく卑猥さの群衆、悪徳と無垢の入り混じった解きほぐせない網だった。私が見渡すところ、どこにも闇と光が同時に見えた。せわしなくトゥクトゥクを走らせる人々、街の詐欺師たち、ひそひそと薬物を勧める囁き。子供たちが両親の手を握りながら、バーが立ち並ぶ通りを歩いていく姿も見えた。その通りには、別の現実逃避を求める外国人居住者たちが、私には理解できないような性的ファンタジーを満たそうとしていた。

でも、それがパトンだった。より一般的に言えば、それがタイだった。善と悪が混ざり合い、不可能なほど絡み合って完全に分離できないもの。それがタイの魅...