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第209話

～アッシャーの視点～

すべては一瞬の出来事だった。

一分前、アッシャーはゾーイと笑いながら抱き合っていたのに、突然彼女はつま先立ちになり、彼の顔を自分の方へ引き寄せた。アッシャーは恍惚状態に陥った。もちろん、彼は彼女にキスをしたかった。彼女が近くにいるたびに、そのことを考えていた。しかし不意を突かれたため、彼は何をすべきか分からなかった。それに、これは正しいことではないとも分かっていた。

しかしまた…

彼女の唇はとても近かった。彼女は体を彼に押し付けるように立ち、二人の唇の距離は2.5センチもなかった。ゾーイの目はしっかりと閉じられ、頬は桜色に輝いていた。アッシャーは深呼吸すると、彼女...