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第75話

欠けゆく月の薄明かりの中、エルミスは影のような静けさで動き、一歩一歩が発見されないよう計算されていた。城壁が頭上に迫り、威圧的で揺るぎないものだったが、エルミスは前進し続けた。危険を顧みず、彼を駆り立てる好奇心に突き動かされていた。彼は確信していた。わずかでも間違った方向へ、間違った動きをすれば、城を取り囲む魔法によって命を落とすことになると。

彼の使命は二つあった。ヘリオス王の機嫌を探り、行動を起こすべき時が熟しているかどうかを見極めることだ。王国中に不満の噂が囁かれる中、エルミスは権力の繊細なバランスが刃の縁でぐらついていることを知っていた。そして彼が得意とすることが一つあるとすれば、そ...