狼と妖精

第43話

「今はあなたを見たくない」私は彼から目を逸らして言った。

「ただ君が大丈夫か確認したかっただけだ。彼女が君に危害を加えたかもしれないと怖くて——」

「私は大丈夫よ！」私は彼の言葉を遮って叫んだ。

「随分とトゲがあるね」私は彼を見た、彼が本気でそんなことを私に言うなんて。

「私がトゲがある？」信じられないという気持ちを声に滲ませて尋ねた。

「私はあなたを死の危機から救ったのよ。少なくとも感謝くらいしてもいいんじゃない？」

私は彼がそんな高慢ちきな態度を取ることが嫌いだった。「私があなたに感謝すべき？あなたがここにいる原因を考えたら？」

彼は混乱した目で私を見つめ、怒りを抑えるように額を揉んだ。「...