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第175話

彼らは空き地に近づいた。「陛下、先に城があります」

ヘリオスはうなずき、すでに城に向かっていた。

「ヘリオス、まるでこの場所を知っているかのように歩いているわね」

「ん」彼はうなずいた「ここは霧の王国だ。どうしてか分からないが、何故かここに来てしまったようだ。以前、この国の支配者を知っていたんだ」

「あぁ、そう…」

ルシアは言葉を切り、目の前の光景に目を見開いた「美しい…」彼女は驚嘆の声で囁いた。

ヘリオスは頷き、彼の唇に微かな笑みが浮かんだ。「ああ、そうだ。そして私の記憶が正しければ、これは幻影に過ぎない。誰も実際にどう見えるのか知らないんだ」

城門に近づくにつれ、ヘリオスは懐かしさが込み...