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第173話

「わが姫、奴らが近づいてきております」と誰かが言った。恐怖のあまり床にほぼ額がつくほど深く頭を下げている。

「見えているわ」と彼女は言い、魔法の鏡を通してルシアとヘリオスを見つめた。

「止めましょうか?」衛兵は一瞬彼女の顔を見上げたが、彼女の不機嫌そうな表情に青ざめた。

「随分と質問が多いのね」

「わ…私は…申し訳ありません」彼は恐怖で胸を押さえながら慌てて立ち上がった。

女王の冷たく計算高い目は、彼女の領域へと向かう二人の一挙一動を追っていた。

彼女の周りの部屋は、外の生き生きとした世界とは対照的だった。壁には暗い色の壁掛けがかけられ、空気は不吉な予感で満ちていた。女王自身も謎に...