狼と妖精

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第12話

カデンの視点

私は自分のスイートルームへと階段を上がった。頭の中で狼が表面を引っ掻き、運命の相手を確かめるよう促すので、意識の奥底に押し込めなければならなかった。実際のところ、俺にはどうでもよかった。

彼女は一瞬だけ、俺に必要な娯楽を与えるという目的を果たしただけだ。現実の世界で彼女が俺に与えられるものは何もなかったから、手放すしかなかった。

彼女には地位もない

家族もいない

狼さえ持っていない、少なくともまともに機能する狼は

ドアを開けると、俺のルナが部屋の中央にドアの方を向いて座っていた。

「あの子のところに行ったのね?」

彼女は感じている動揺を表に出さないよう必死に努めているのが...