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第92話

ジェームズは今日こそ待ち望んでいた楽しみを得られるという考えに、幸せな気持ちで目を覚ました。キッチンへ向かい、コーヒーと卵料理を作った。ラジオから流れるパッツィー・クラインの「クレイジー」に合わせて歌いながら。

卵料理が出来上がると、コーヒーを手に持ってテーブルに座り、窓の外にある自分の「おもちゃ」を眺めた。昨夜は二度も雨が降ったから、びしょ濡れになっているだろうと笑いながら見ると、おもちゃが縛り付けられているはずの木には何もなかった。

狂ったように外へ飛び出し、木のところまで行くと、そこには何もなく、ただ木の幹に不気味な刃物で留められたメモだけがあった。

メモからも刃物からも匂いは感じ取れな...