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第52話

リリーは狼の姿でいることに興奮を感じていた。特にジニアが彼女を焦らせるときは。発情期の痛みは強まり、リリーはこの苦しみから解放されなければ正気を失ってしまいそうだった。

リリーは主導権を握り、城へ走って戻った。どこへ行くべきか、何をすべきか分からないまま。もし他のオスに出くわしたらどうしよう。

彼女はドアの前で立ち止まり、中に入るべきか迷っていたとき、金色の狼が先導した。彼女はソーンとジニアの会話を聞くことができた。彼が彼女たちを必要な場所へ導こうとしていた。

「ジニア、私たちは部屋に戻って氷水に浸からなきゃ。もうこの痛みに耐えられない」

「リリー、氷水はもう効かないわ。火には火で対抗す...