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第85話

言葉が出てこなかった。彼女の頭は鈍く働いているようだった。しかし、カスペインは彼女の返事を必要としていないようで、すぐに怒りの言葉を浴びせ始めた。

「宮殿が封鎖されている時になぜ外に出たのか、理解できない!それも一人で森に入るなんて!まだ掃討していない不審者がうろついているところに!」彼の顔は赤く、声を上げるにつれて自制心が弱まっていた。

彼はクローゼットに歩み寄り、身に纏っていたローブを構わず脱ぎ捨てると、それは床に皺くちゃになって落ちた。彼女は黙ったまま彼の動きを見つめていた。

「お前がケガをしたり、もっと酷いことになったりしたらと、どれだけ恐れていたか分かるのか?」彼はクローゼット...