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ザ・ダガー

彼女が牙を剥いても、彼は近づいてきた。「落ち着け、誰も来ない」彼は冷静に彼女に言った。「この岩が見えるか? これは狼同士がリンクする能力を遮断するんだ。だからこの場所を造ったのさ」彼は得意げに彼女に告げた。

ずっと、彼女は誰かと連絡を取ろうとそこに閉じ込められていたが、たとえ望んでもできなかったのだ。彼女はその岩を見つめ、それが何なのか、なぜ今まで聞いたことがなかったのか不思議に思った。それについてじっくり考える時間などなかった。

彼に飛びかかろうと身構えたが、代わりに彼は血の入った鉢を彼女に投げつけた。液体が床に叩きつけられる音が部屋に響き渡った。

それは彼女の毛皮を覆い、彼女をその場...