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月と一緒に

エンツォは躊躇わなかった。彼の唇が彼女の唇に触れ、一瞬のうちに彼女を腕に抱き寄せると、彼女の体から息が漏れた。

彼女は息を求めて喘いだ。肺に酸素が満ちるやいなや、彼の唇が再び彼女の唇を捉えた。

彼の舌が入り口を求め、手は彼女の髪に触れ、顔を包み込んだ。彼女の甘く無垢な顔。彼はその顔にこれ以上の不幸を見せたくなかった。

彼女も躊躇なく彼にキスを返した。ゆっくりと、彼女が築き上げた壁が崩れ落ちていった。二人とも他人を寄せ付けないのが得意だったが、お互いを遠ざけることはできないようだった。

離れると、彼は彼女の顔に軽いキスを降らせ始めた。彼女は彼の愛情の雨に微笑んだ。こんな気持ちを味わったこ...