白い狼

第145話

彼らは足早に書斎へと向かった。宮殿の外の混乱の音は、壁の中にまで響いていた。衛兵たちは宮殿中を動き回り、王族に一礼するために一瞬だけ立ち止まっては、すぐに任務へと戻っていった。

彼らは空気の中に感じることができた。恐怖を。不確かさを。絶望を。それはまるで曇り空に掲げられた旗のように、空気中に漂っていた。

書斎に到着すると、ドアはすでに開いており、ゲイブ、エンゾ、そしてジュディがすでにそこにいた。

ジュディは部屋を行ったり来たりし、息子が入ってきたときだけ足を止めた。彼女の髪は乱れており、まるで何度も手を通したかのようだった。服はしわくちゃで、顔は落ちくぼんだ目とともに、ようやく年齢を表す...