クインを愛して

第75話

アノーラ

平和。

これが私の唯一の感想だ。クインの私有ビーチでタオルに横たわり、日差しを浴びながらそう思う。彼のヴィラに到着した時、私は息を呑んだ。広々としたオープンフロアプランの大きな建物だ。五つの寝室はメインハウスから離れた小さなキャビンのように配置されている。それぞれに専用のバスルームと小さなパティオがある。

このヴィラは以前小さなホテルだった。メイン棟の両側に二つずつ寝室があり、三つ目は裏側にある。寝室は広く、それぞれに小さな応接室、暖炉、そしてキングサイズのベッドが備わっている。

クインは、滞在頻度が少ないためリフォームする意味がないと言って、この物件をそのままにして...