クインを愛して

第54話

（アンノーラ）

両親の家の車道に車を停めると、玄関のドアが開き、グレースが飛び出してきた。彼女はまだパジャマを着たままで、髪は所々逆立っている。クインのドアの横で立ち止まった彼女の顔には真剣な表情が浮かんでいた。

朝早くからなぜそんな真剣な顔をしているの？

クインが車から降りると、彼女は彼をきつく抱きしめた。私も車から降りて、二人の方へ歩いていく。グレースは私が二人の横に立つと顔を上げた。娘の目に浮かぶ涙に私は眉をひそめる。

「どうしたの、グレイシー？」

「昨日の朝、意地悪なことを言ってごめんなさい。ただ、もう一緒に住めないのが悲しかったの」

私はクインと視線を交わし、それ...