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190。「かけがえのない役員?」

重い瞼をなんとかこじ開けると、混乱する意識の中でまず気づいたのは、殺風景で清潔な天井の向こうにある静寂だった。その静けさを破るのは、傍らのモニターが発するリズミカルなビープ音だけ。消毒液の匂いが強く漂い、なにもかもが白すぎるように感じられる――壁も、カーテンも、シーツも……。

ここがどこなのか理解するのに、時間はかからなかった。

ゆっくりと身を起こす。全身の細胞という細胞が疲労でずっしりと重い。視線が自分の腕へと向かうと、そこには点滴のチューブやセンサーが、細い医療用テープで留められていた。

『私、病院にいるんだ』

唾を飲み込もうとするが、その単純な行為が喉の奥を削るような鋭い痛みに変わる。思...