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179。天文学の力

機密の黒いフォルダーを胸にしっかりと抱え、エレベーターへと急ぐ。

いつものように、社員たちは黙って私を見つめている。だが今回は、その視線にこれまでとは違う重みを感じる。そこにあるのは、懸念、戸惑い、そして疑念だ。

こんな些細なことが全てに影響を及ぼすなんて、時々、不公平だと感じる。

そして、その全てが私のせいだなんて、もっと不公平だ。

トーマス・ロスを連れてきたからじゃない。彼が時限爆弾だと見抜けなかったからでもない。シャネルを止められず、ミランの毒牙にかかるのを許してしまったからでもない。今、かつてないほど確信しているのだ。この全ては、私のせいで起きているのだと。

私のサイコパスな元カレがこ...