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第50話

長い一日だった。私はただ家に帰りたかった。この感覚に自分でも驚いた。いつもなら残業することに問題はなかったからだ。早朝出勤も同様。実際、私はできるだけ多く働くのが常だった。でもそれはハナが家で待っている今となっては昔の話だ。今や仕事はそれほど重要にも魅力的にも思えなくなっていた。今回はめずらしくサイモンとの問題で仕事に留まっているわけではなかった。ジェイソンが新しいクライアントを連れてきて、彼らは二人がかりでセットアップミーティングに出席するほど大きな案件だった。その日最後の会議が終わると、ジェイソンは私のオフィスへ向かう途中に声をかけてきた。

「どこかで夕食でもどうだい?」と彼は尋ねた。

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