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第118話

彼女の足音を聞いたのは、姿を見る前だった。いつから彼女の足音を聞き分けられるようになったのかは分からない。でも確かに覚えていて、その音を聞いた時、振り向くと彼女が自分のドアに向かって歩いているのが見えた。彼女は食料品の袋を持っていて、僕の足は勝手に動き出した。彼女が僕を見た時の驚いた表情、それに続いた小さな、不確かな微笑みを認識したかと思うと、僕は彼女の手から袋を取り上げ、彼女を抱きしめていた。

「無事で良かった」僕は彼女の髪に向かってつぶやいた。彼女の腕がためらいがちに僕を包み込むのを感じ、もっとしっかり抱きしめて欲しいと思った。

「ハンター?」彼女は尋ねた。

「ごめん。こんな風に抱き...