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チャプター 89

アローラ視点

箱を開けると、そこには見事な細工が施された二つの指輪があった。指輪の周囲には複雑に絡み合う結び目の意匠が施されており、それは私の月姫の礼装にある模様と一致していて、無限を象徴する錠のような形をしていた。それらはすぐに、私にとってとても大切なものだと感じられた。

キャスを見上げる。「とても綺麗……それに、力を感じるわ。これ、何をするものなの?」私は彼女に尋ねた。

「母様が箱の中にメモと、あと説明書も残してくれてるわ。クッションの下よ。でも基本的には、あなたの魔法の残滓を吸収して蓄えてくれるものみたい。もし完全に魔力を使い果たしちゃったとしても、指輪の中にあるものを使って自分を回復...