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第六十九章

アローラ視点 続き

なぜだかわからないけれど、涙が溢れてきた。彼がここにいる……やっと、彼が来てくれた。小さな嗚咽が漏れた。抑えようとしたけれど、無理だった。

彼が両腕を広げる。それだけで十分だった。私は短い距離を彼へと駆け寄り、その腕の中に飛び込んだ。彼は私をきつく抱きしめる。片腕は私の腰に回され、まるで壊れない鉄の棒のようだ。もう片方の腕は背骨に沿って、手のひらは後頭部に添えられている。私は彼の腰にしっかりと脚を絡ませる。

彼は私を抱き上げ、その厚く豊かな唇を私の唇に重ねてくる。深くキスをしながら、私をきつく抱きしめ、私も彼の首に腕を回し、同じくらいきつくしがみつく。涙がゆっくり...