月に選ばれた

第85話

ディラン視点

「で、なぜ僕を助けようと思ったんだ？」私は用を足し終えて木の陰から出てきながら、ようやくライアン・クラークに尋ねることができた。

私たちは全部で14時間以上も移動していて、控えめに言っても退屈だった。キング・ジョッシュが上品に表現した私の「失踪」は、ニュースで大々的に報じられていた。車のラジオはほとんどの旅程で流れていて、幸いにもトラックの後部から断片的に聞くことができた。

王は、過激派や反乱軍が私の誘拐事件の背後にいるという完全な妄想に取りつかれているようだった。そう、彼の奇妙でゆがんだ小さな頭の中では、哀れで無防備な私が、反乱軍のメンバーに連れ去られ、王室に対する取引材...