月に選ばれた

第71話

ニック視点

「それで...どうやって手伝えばいいの？」シーラは明らかに私の存在に緊張していた。彼女のダイニングテーブルに座ると、この女性が私をこれほど恐れている様子は正直心に突き刺さった。私が実際に何かできるわけでもないのに。

「何かを密輸入してもらいたいんだ。そして君だけが頼れる人なんだ」彼女の眉間のしわが多くを物語り、彼女の表情に恐怖が走った。おそらく、王が現在この地区に滞在していて、彼女が捕まれば神のみぞ知る罰が下るからか、あるいは私がアリアやエイドリアンに告げ口すれば、彼女は公開処罰されるか、最悪の場合、処刑されると思ったのだろう。もちろん私がそんなことをするはずがないのだが。

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