月に選ばれた

第52話

ディラン視点

すでに数日が経過していたが、私は水を持ってきてくれる衛兵以外、誰とも会っていなかった。私がいる牢獄は湿っぽく、冷たい水が外から石の床に滴り落ち、その音が部屋中に反響していた。不気味だった。前回ここに閉じ込められた時はカルロスがいたので、あまり気にならなかったが、今は誰もいない。もし早く出られなければ、私は気が狂ってしまうだろう。

王の命令通り、私の手首は分厚い銀の手錠で壁にきつく繋がれていた。腕をまったく動かすことができなかったので、水を与えられる時はいつも口まで運んでもらうしかなかった。ここに閉じ込められてから何も食べておらず、そのせいで胃は空っぽで、胃が鳴るたびに軽い痙攣...