月に選ばれた

第43話

ディラン視点

私はカルロスを見つめ続けた。彼も私の目を見つめ返してくる。彼は頭がおかしくなったに違いない。私とルイスはただの友達で、彼が私に恋しているなんてあり得ない。目の前の男は間違いなく妄想を抱いている。

「何を言ってるの？」私は完全に困惑して尋ねた。特に宮殿内でそんなことを言うなんて。王様は文字通り至る所に目と耳を持っている。もし誰かが彼の言葉を聞いていたら、罰を受けるのは私だけでなく、王家のベータまで巻き込まれることになる。

「理由なしにオオカミが君を守るようなことはあり得ない」彼は主張したが、それは意味をなさない。ルイスはすでに運命の相手がいて、拒絶されたのだ。オオカミは誰とで...