月に選ばれた

第30話

ディラン視点

王が私を群衆に見せつける様子は、一ヶ月前に初めて世界に紹介した時とは全く違っていた。あの時は少し乱暴で、私を傷つけたけれど、それでも誇らしげに見せつけ、私が彼のものだと世界に知らしめていた。しかし今回は、嫌悪と軽蔑を込めて私を晒した。

カメラのフラッシュが次々と顔に浴びせられ、みんなが私の姿を撮影しようとしていた。茶色の粗末な麻袋のような服は栄養失調の体にだぶだぶと垂れ下がり、目に見える肌のほぼすべてが傷跡や切り傷、あざで覆われていた。私はもはや惨めな状態だった。

「受け入れれば、これは全て終わるんだぞ！」王は囁き、欺瞞に満ちた目で睨みつけながら、私の乱れた髪を耳の後ろに掻...